消費社会と若者
「もったいない」という言葉が、最近周りであまり聞こえなくなってきました。使い捨て用の製品や、安価で多様な製品が充実している現代の社会は、「ものを消費」することが日常の一部になっています。
一方で、商品を購入するときに失敗したくない、お金の浪費を抑えたいと考える若者が増えており、SNSや友人からのクチコミなどで信頼できる情報を充分に収集してから購入に至るというケースが多くなっています。これは22歳であるわたし自身にも当てはまる傾向です。
工芸品で失敗はあり得ない?
昨夏、東京駅の地下で自身の商品を売っていた革細工職人さんに出会いました。普段はデパートに卸すような鞄や財布といった商品から、職人さんの遊び心で作られた小物まで様々な商品が並んでいました。
どんな革が用いられているか、普段どんな場所で売られているか、商品の型紙制作の話や簡単な手入れの方法、私が身に付けていた革のベルトのかっこいい締め方など、革細工に関する様々な話を聞かせてくれました。
日々革製品と向き合っている職人さんのお話を直接聞けたことは、情報・製品の信憑性・品質を疑う余地なく、それ以上の興奮や商品を手に入れたいという感情、愛着までもが駆り立てられました。
いまの時代にこそ
ありとあらゆる多くのものに溢れた時代だからこそ、「本物」への感動はとても大きいです。
信頼と技術の面で職人さん・工房の右に出る者はなかなかいません。長く愛用でき、その質の良さ・製品の背景にいる職人の存在で、工芸品は日常の中の特別な存在になり得ます。
プレゼントやこだわりのものにお金をかける傾向にある若者にとって、工芸品のような本物を求める人はこれから増えていくのではないでしょうか。
ちなみに
昨夏のあの日、帰り際に「話を聞いてくれたお礼だ」と小物入れを譲ってくださろうとした職人さん(とても気に入ったのと応援の気持ちを込めて、ひとつ分のお値段に少し上乗せして友人と2つ頂きました)。
今の商売スタイルには希少な、人との繋がりが感じられたこともまた、小物入れへの愛着が増します。革製品には馬油がいいと教えてもらったので、このコラムを提出後塗ってあげようと思います。