インタビュー:かっさん
大阪府立大学経済データサイエンス課程3年
祖母が丹後ちりめんの職人、父が板金会社の社長。伝統工芸学生アンバサダーとらくら代表、株式会社wakonartなど複数の文化系企業へ参画し、伝統工芸・伝統文化の継承に力を入れる。
今回は久留米絣織元「野村織物」へ取材でした。国の重要無形文化財にも指定されている「久留米絣」の織元にて「洋服への挑戦」を中心にインタビューしてきました。
✍️前提知識「久留米絣とは」✍️
久留米絣は、江戸時代後期、現在の福岡県久留米市で生を受けた、井上伝(いのうえでん)という当時12才の少女のインスピレーションから生まれました。伝はある日、着古した藍染めに白い斑紋を見つけ、後の久留米絣の元となる技法をひらめいたと伝えられております。その後も精力的に工夫を重ね、普及活動を続け、15歳の頃に20数人の弟子がいたそうです。さらに1839年大場太蔵が、絵や文字を自在に表現しようと工夫を重ね、1844年頃には牛島ノシが久留米絣の代表的柄とされる小紋を考案し今日に至っております。
先染めの木綿である久留米絣は、完成までに約30工程にも及ぶ作業を有します。今もそのほとんどは手作業で行われており、その一つ一つの工程に熟練した経験と技を必要とします。反物は巾37~38cm、長さ12m。縦糸と緯糸が織り成す紋様は精巧さを極め、美しく、木綿ならではの素朴な風合いがあり、いにしえのロマンを物語る逸品です。
https://www.nomura-orimono.com/kasuri.html
写真:野村織物の工房
今回の記事のポイント!
- 野村織物は国の重要無形文化財「久留米絣」の織元
- 「絣を身近に」をコンセプトに洋服にも展開
- 久留米絣の若手職人募集中!
野村さん、よろしくお願いします!
よろしくお願いします。
まず始めに、野村織物はどういった織元ですか
明治31年創業の国の重要無形文化財にも指定されている伝統工芸品「久留米絣」の織元です。現在私で4代目です。
野村織物の1番の特徴はどういった点ですか
新しい反物を0から製造するスピードです。
写真:野村織物の工房にて
スピード!!具体的に伺いたいです
絣は縛った糸を括り、小幅の織機で織るのが特徴です。この前工程に、生地の図案を作成し糸の染色を逆算します。自社で染色ができるため、色の細かい変更や配合が可能です。
久留米絣とコラボしたい企業にとってありがたいですね!
野村織物は100年以上久留米絣を織り続けていると思います。野村さんが思う久留米絣の魅力はどういった点ですか
通気性が良く着心地が良い点です。また、先染めの糸で織っているため、柄が消えない点も魅力です。微妙に色の出方が違うので、多様な柄を楽しめます。
写真:野村織物の反物
久留米絣の「通気性の良さ」という特徴を生かして、着物のみならず洋服へも最近進出されていますね!
はい、最近は「女性向けの衣服」を中心に洋服製造にも取り組んでいます。特に40代・50代の女性に気に入っていただいています。
写真:野村織物の洋服と野村氏
素朴な感じで良いですね。国の重要無形文化財の技術で織る洋服って特別です!
webサイトを見たら洋服を一点からオーダーメイド できると書いてあるのですが・・
はい承っています。久留米絣の独特な色合いや肌触りを多くの人に感じてほしいです。
お客さんの意見と職人の専門的な知見でこだわりの服をぜひ一緒に作りたいです。
特別なギフトになりそうです!
また、現在新しい職人さんを募集されているのですか
はい募集しています。
やっぱり特別な経験や職歴は必要ですよね、、
経験不問です。久留米絣が好きで、「次の世代に繋ぎたい」そういう想いを持っている人と一緒に働きたいです。ただ、職人業は技術の習得までに時間がかかります。辛抱強く日本の伝統を背負う覚悟が必要だと思います。
最後に、次世代の伝統文化を担う若者へのメッセージをお願いします!
久留米絣の洋服を街中でみると、他の洋服とは生地が明らかに違うのですぐ気づきます。そういう姿を見ると、作り手としてとても嬉しいです。一緒に文化を守りながらモノづくりの楽しさを共有できたら嬉しいです
編集後記
初めて久留米絣を見たのですが、絣独特の色合いや肌触りの優しさが印象的でした。また着物生地のみならず洋服へも挑戦されていて、伝統織物が身近な生活に馴染む姿が面白いなと思いました!
写真:野村織物の工房にて
取材協力:久留米絣 織元 野村織物 野村周太郎氏
野村織物 公式HP:https://www.nomura-orimono.com/index.html
写真撮影:伝統工芸学生アンバサダー とらくら 白江勝行
記事執筆:伝統工芸学生アンバサダー とらくら 白江勝行