秋学期のとある授業で、各自窯に入れて焼きたいものを焼いてみる、という実験のような時間がありました。今回はその実体験を通して、焼き物の世界を少し共有できたらと思います!
授業で行った焼成実験
焼くものを選ぶ際、熱によって溶けていき変化するものだったら意外な形に出会えるだろうと思い、高さのあるものを選ぼうと考えました。また、1つのものが複数の素材でできているもののほうが、変化が出て面白い形を生み出すのではないかと想像していました。
そこで選んだのが、使い切ったシャンプーのボトルです。
選んだシャンプーのボトルは、ヘッドの部分と容器の部分では色や厚みが異なっていました。また、中のストローやヘッド部分のほうが溶けにくいように思ったので、外の部分が平たく溶け出したらいいなと思いました。
実際に一回目焼いてみると
焼き物は、基本的に2回窯入れをします。その1回目に当たるのが、素焼きという工程です。
今回は、私が選んだモチーフである、シャンプーのボトルに陶芸用の土を塗った後、窯入れをしました。素焼きは主に、600度から800度の温度で焼成します。
そして、いざ窯出ししてみると、なんと、ほぼ跡形もなく焼かれてしまっていました。日常ではせいぜい100度が出会う温度の限界だったので、物が変化する、溶ける、といった物質変化を超える、物がなくなる、という温度の威力を感じました。
2回目を焼いてみると
ほとんど跡形もなくなってしまったものの、のこったわずかな物質に釉薬を塗って、いざ本焼きに進みました。
本焼きでは、1100度から1300度程度で焼成する工程を指し、素焼き以上の高温にさらされることになります。
窯出ししてみると、釉薬が鮮やかで深い緑となり現れ、この色合いが焼き物らしさを感じさせました。また、素焼き後パリパリになった物質は、ほとんどその近い形で残っていました。
焼成体験を経て
熱によって物は溶けるイメージを持っていましたが、焼き物で使われる温度はそれを大きく超える化学変化を与えるものだと体感しました。つまり、土から焼き物になること、焼き物となり変わらない状態変化を起こすことは、それほどまでも大きなエネルギーがかかっていることがわかりました。
焼き物は世界各地で出土していたりと、古くから用いられていた技術ではあるものの、焼成は、その過程で毎回しっかり変化し予測不可能なところが、追求しがいがあり魅力的な分野だと気づきました。
最近、デジタルデトックスにもなる趣味の一つとして、陶芸をよく聞きます。陶芸を好きになる人の気持ちが、とても共感できますよね。
次回もお楽しみに!お読みいただきありがとうございました。
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今回のニッポンの色は
瑠璃色
Ruriiro
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