人によって、伝統工芸への入り方・興味の持ち方は様々だと思う。今回は伝統工芸の中でも私が「竹」に興味を持ったきっかけについてお話ししたい。
竹との出会い
高校時代、テニス部に所属していた。高校のテニスコートの傍には小さな竹藪があり、毎年春になるといくつもの筍が生えてきていた。これを可愛いものだと放置していたら、大変なことで、雨が降ると、一日に20cmも30cmも伸びていった。これが私が始めて竹を身近に感じた体験であり、竹に可能性を感じた瞬間だった。
竹が身近な存在だったのも、私が九州で生まれ育ったことが要因の1つだろう。竹は日本のどこにでも生えているものだと最近まで思っていたが、北限は東北で、温暖で雨が多い地域に適しているため、九州には多く生息しているようだった。
竹と工芸
大分県別府市の竹細工は伝統的工芸品に指定されており、日本有数の竹細工の産地である。私は何度も家族と別府へ温泉旅行に行ったことがあり、とても馴染み深い町でもある。また別府は、温泉で有名な町だが、伝統工芸として竹細工も盛んであることも、何かの拍子に知った。そのため、伝統工芸という言葉を聞くと、私は別府の「竹細工」をよく思い出した。

竹の魅力について
このような経験から、竹は私にとって身近な存在となった。日本家屋、日本庭園では、竹垣、すだれ、鹿威し、観賞用の竹林など、様々な場所で竹に触れることができ、日本人にとっても身近な植物の1つだろう。竹は日本の生活文化に密着したものであり、日本の生活に欠かせない存在だったのだと思う。だからこそ、日本文化に興味を持ち始めた私にとって、竹は魅力的な存在に感じた。
次回からは、日本の伝統文化の中で使われてきた「竹製品」を取り上げていきたいと思う。その1つ1つを深堀りする中で、これから更なる竹の魅力を発掘し、発信していきたい。