2024年6月20日2024年7月5日
日本の営みがいまも残る漆器の産地、信州の木曽平沢で
人と自然、過去と現在、用と美が和する漆器の産地で、「伝え手」と「作り手」を志す合宿型プログラム
木曽漆器の産地や国の重要伝統的建造物群保存区域としても知られる木曽平沢。ここには、近代化=西洋化という抗いがたい時代の流れの中で、日本が忘れつつある伝統的な “営み” がいまも残り続けています。
たとえば、美しい木造建築の街並み、暦にそった四季折々の自然を楽しむ暮らし、 陰翳礼讃的な世界観、数千年前から日本人が愛してきた漆を生かしたものづくり…。 けれどまた、日本の長い歴史と風土が育んできた、日本にしかない豊かさは、世代が大きく入れ替わるこの数年で失われ、次の世代に引き継がれないかもしれないという課題にも直面しています。 目に見えない、言葉にならない、ここにある価値を感じ、咀嚼して、自分なりの表現で伝えていく。そんな新世代の伝え手や作り手が、いまこそ求められています。
そこで私たちは、日本的な美や豊かさを次代につなげていく、「伝え手(writer)」と 「作り手(craftsman)」になる合宿型プログラム「awaintern」を企画しました。この文章を読んでくれているあなたのような、同世代の素敵な仲間たちに出会えることを楽しみにしています。
「作り手(craftsman)」と「伝え手(writer)」になる2つの合宿型プログラム
木曽漆器のような伝統工藝を未来に繋いでいくには、技術を継承し、新たな工藝を生み出していく「作り手」はもちろん、分たれてしまった使い手︎(生活者)と作り手(生産者)の関係を編み直し、共に工藝文化を守り育んでいく機運をつくっていく媒介者としての「伝え手」も必要です。
そこで、本プログラムでは、2通りのインターンを用意しました。
「とらくらインターン」
木や漆といった自然、先人から受け継がれてきた技法の伝統と対話しながら、漆器を生み出し続ける職人。彼らのもとで作り手としての思想や技術を学ぶ 2週間の弟子入り的プログラムです。現代において職人として生きるということに思いを巡らせ、自分なりの生き方を再考します。工芸学生団体とらくらとの共催で実施します。
〈こんな人におすすめ〉
・漆器職人を志す人、跡継ぎ希望者・職人という生き方に関心がある方
・大学や専門学校で漆芸や工芸について学んでいる方
・将来ものづくりに携わりたい方
「writer in 産地」
生活と文化、過去と現在、作り手と使い手…。現在では隔てられてしまっているものたちも、ここ木曽平沢ではいまも融け合い、混じり合っています。様々な間(あわい)に息づく、ここにしかない価値を五感で感じ、その人らしい物語りで、伝えていく術を学ぶ、3泊4日の実践型ライティングスクール。日本各地でライターインレジデンスプログラム「local write」を開催する編集者の磯木さんをゲストに実施します。
また、プログラム中に執筆いただいた記事は、三地編集室等の媒体で掲載させていただく予定です。〈こんな人におすすめ〉
・ライター志望者
・産地での暮らしや生き方に関心がある方
・日本文化を自分なりの言葉で翻訳、発信する日本文化のキュレーターになりたい方※「writer in 産地」を検討されている方は、プログラムゲスト・磯木さんの告知文もご参考ください。
プログラムゲスト
ライターin産地:
ライターインレジデンス主宰/『「小商い」で自由にくらす』著者・磯木淳寛さん
千葉県いすみ市を拠点に活躍するライター・編集者。雑誌『ソトコト』、『TURNS』、『季刊リトケイ』、WEBメディア『greenz.jp』『OZmall』『through me』など多様なメディアで執筆。
『LOCAL WRITE(ローカルライト)』とは、地域の物語に出会い、考えて、感じる、インタビューとライティングの地方滞在型ワークショップです。ライター志望者や文章を書く事に興味がある人、また、地域で活動している人の仕事や暮らしに触れてみたい人を対象として2015年2月にスタートし、全国各地で開催しています。基本的に3泊4日の合宿スタイルでプログラムを行い、実際に現地での取材をおこなったうえでwebマガジン等に原稿を掲載しています。※「writer in 産地」を検討されている方は、プログラムゲスト・磯木さんの告知文もご参考ください。
「日本美」が息づく木曽平沢というまち
2006年に「国選定 重要伝統的建造物群 保存地区(重伝建)」に選ばれた木曽平沢。町を歩くと、伝統的な木造建築が建ち並ぶ、美しい街並みを目にすることができます。
しかし、それらは時が止まったかのような遺物ではなく、今も暮らしや生業が営まれる生きた街並みです。その家々の多くは、住居であるとともに、漆藝職人がものづくりを営む工房としても使われていて、「重伝建」かつ「漆工の町」は全国でもここ木曽平沢だけ。
花を生けたり、美しく整えられた日本式のお庭があったり、季節ごとの習わしを今も大切にしていたり。日本的な暮らしとものづくりが一体となっている木曽平沢の町を歩くと、素朴な生活美を感じられます。
一方で、そんな木曽平沢も、人口減少による空き家の問題や、主要産業でもある漆器の全国的な衰退によって、過疎化が課題になりつつあります。三地編集室は、産地に息づく豊かな暮らしの発信や、多様な企画を通じて、木曽平沢に関わる人を増やしながら、産地を持続可能にしていくために2024年4月に立ち上がったばかりの会社です。
滞在場所について
writer in 産地 滞在拠点:日々別荘
漆器の商売で財を成した手塚家の別荘として1931年に建てられました。和洋折衷の美しい古民家を一棟貸しの宿としてリノベーション。当時は地域の方々が和歌や茶道などを学ぶ文化拠点でもあった少し特別な記憶の残る場所です。今回は特別に、writer in 産地の滞在執筆拠点として4日間貸し切って、お使いいただけます。
https://hibi-besso.jp
とらくらインターン 滞在拠点:宮下の家
普段は、移住希望者向けの一棟貸切、お試し住宅。4名ほど宿泊でき、1週間以上・半年未満という中期での滞在を通じて、ご近所さんと交流しながら、木曽平沢の山あいでの暮らしを試住することができます。
プログラムスケジュール
※「writer in 産地」を検討されている方は、プログラムゲスト・磯木さんの告知文もぜひご参考ください。
詳しいカリキュラム内容、身につくスキル、企画の経緯など、writer in 産地の詳細情報も説明しています。
参加料金
参加費用は塩尻市協働のまちづくり基金より補助をいただいているため、参加いただくみなさんには最低限の出費でご参加いただけます。
とらくらスクール
・プログラム費:20,000円
※講師の技術指導費、製作における道具貸し出し、宿泊費など諸経費
※プログラム費の大部分は協働のまちづくり基金より補助を頂いています
※交通費・食費は含まれません
writer in 産地
・プログラム費:44,000円
※3泊4日分のライター養成講座費(宿泊費込み)
※宿泊費等は塩尻市協働のまちづくり基金より補助を頂いています
申し込み
いただいたご質問
ご不明点、迷っていること、悩んでいることがあれば下記にお気軽にご相談ください!
また、これまでにいただいたご質問を下記にまとめましたので、ご参考ください。
メールアドレス:sanchi.edit.shinshu@gmail.com 電話:090-8048-6867 |
Q:awaInternには、「writer in 産地」と「とらくらインターン」の2つのプログラムがあるそうですが、それぞれの違いは何ですか?
「writer in 産地」は、工藝や日本文化の価値を翻訳・発信する「伝え手」を目指すプログラムです。全国でライターインレジデンスプログラム「local write」を主宰している文筆家・編集者の磯木淳寛さんをゲストに共同で開催します。
「とらくらインターン」は、漆器の作り手の元で実際に「弟子入り」して作り手としての生き方、働き方を体感する実践型のクリエイタープログラムです。日本最大の工芸学生団体「とらくら」と共催します。とらくらインターンの魅力は、ぜひこちらもご参考ください!
Q:「writer in 産地」は、ライターの経験がない人でも参加できますか?
ライターの経験がない人も大歓迎です! 初心者の方の参加がむしろ多いです。伝えたいという気持ちがあればどなたでもご参加ください。
Q:「とらくらインターン」は木曽漆器の職人になりたい人しか参加できませんか?
もちろん職人を志している方の参加は大歓迎ですが、この時代、漆器の職人として生きていくことは容易ではありません。「職人ってどういう人生なのだろう」、「職人として働くことのやりがいや難しさって?」。そんな問いを携えている方の参加も歓迎です。まずはお申し込みしてみてください。
Q:全日程に参加できません…。
基本的には全日程に参加できる方を想定していますが、どうして全日程だと参加が難しい方は、調整もできる場合があります。その旨をお伝えいただき、まずはお申し込みください!
執筆:北埜航太/ 合同会社 三地編集室 共同代表
東京都出身。学習院大学で文化広報外交の研究や、アジア人留学生の受け入れボランティアを通じて、日本文化に関心を持つ。卒業後、PR代理店、新聞社系WEBメディアの広告企画をへて、長野県辰野町に移住。取材、執筆、コーディネートを通じて地域の「関わりしろ」を見える化し、外部人材を地域づくりに巻き込む多数のプログラムを企画運営。
三地編集室では、木曽平沢に息づく曖昧で言葉にしづらい価値を翻訳、言語化していくコンテンツ制作や関係人口を増やす広報企画などを担当。
多様な外来文化を和合させて独自の日本文化に昇華させてきた、日本的感性や創造性とは何かを、平沢をフィールドにみんなで探求したい。編集:佐伯葉奈/立教大学3年/工藝学生団体「とらくら」代表
東京出身。2021年に立教大学へ入学。大学1年生の時日本最大級の学生工芸メディア「とらくら」の代表を引き継ぐ。職人への取材を通して工芸をより実践的に学び、Z世代そして社会に、工芸の魅力を発信している。三地編集室ではとらくら史上初の試みである、木曽漆器の技術継承インターンシップ「とらくらスクール」を企画。工芸の作り手と使い手を増やしながら、木曽の風土を、物語を、未来へ紡いでいく。
https://sanchi-edit.com/about/#member
とらくら代表 佐伯葉奈 「伊藤寛治商店さんにて」