有松絞り、京鹿の子絞りを見分けられますか?
ただ技術を見て知って話を聞くだけでは、純粋な感覚でものの良さをわかってもらえない。
できるだけ直接手にとって見て欲しい。
藤井社長はまずお話やものを見せるだけではなく、絞りがどういうものかを知って欲しいということで実物をたくさん見せてくださいました。今回は藤井絞が扱う2つの主な染めの特徴と違い、こだわりの生地の魅力をご紹介します。
ー有松鳴海絞りとは
有松絞りは、愛知県名古屋市の有松町・鳴海町地域でつくられる木綿絞りの総称。
大分県の豊後から名古屋城建築で宿場町で、大分の豊後絞りが伝えられたものだそうです。
下絵を描かずに手先の技だけで作業する技法があるのも有松染めならでは。
雪花絞りも有松を中心に栄えた板締め技法の模様のひとつです。
雪花絞りは布を三角形に追って染めます。
生地が染料を吸って、毛細管現象のように浸透していくことにより、花が咲くようなボカシ染めにしていくのが雪花絞りです。
生地を縦に畳み、基本三角形を作りながら頂点を合わせ折っていき、両端を板で締め動かないようにして固定したものを乾いたまま染料に浸します。
二等辺三角形にするのか正三角形になるのかで形も大きさも変わるのが面白いところ。
二等辺だと四角、正三角形だと六角形に。
小さく畳むと、長さが倍になり柄も細かくなります。
柄の細かいものほど手間がよりかかっているんですね。
ー京鹿の子絞りとは
括りの模様が子鹿の斑点に似ていることから「鹿の子絞り」と呼ばれています。
室町時代から江戸時代にかけて、辻が花染として盛んになり、江戸時代中期は、鹿の子絞りの全盛期でした。
それぞれの括り技法の持つ表現力を組み合わせて、模様が表現されています。
1人1種類の括り技法を持つ技術者が、絞り括りを行い、次に多色染色のため桶絞、帽子絞の染め分け防染を行い、染料に浸し染色後、乾燥させて糸をほどき、湯のし幅出しをして完成。
京鹿の子絞り、今はビニールで輪ゴムで絞っておくと便利ということでこんな形で絞って染められます。
また、必ず下絵があります。あくまで下絵に基づき色や絞りで作る形を指定、それぞれの職人さんが担当箇所を作っていく共同作業です。
下絵や色ぬりしたサンプルを見せてデザインを確認し、職人さんにも見ていただいてこの形で絞りができるのかくくれるのかを打ち合わせし調整を重ねるため、たいへんな手間ひまがかけられた一点物になります。
有松絞りの技法も、京鹿の子絞りと組み合わせることで京都で可能になった商品もあるので、ぜひ藤井絞のお着物を扱うお店で色々な商品を見にいきたいです。
生地が物凄いということで実際に商品を触らせていただきました。
絞りのお話も面白いのですが、それ以上に藤井絞が拘っているのが着心地。
最後にはごろも木綿を触らせていただいちゃいました。
まだ着物初心者ですが、綿とは思えない滑らかさでびっくりしました。
見た目も絹と見間違える質感。
藤井絞のこだわりと良いものを追求する凄さを実感していただけること間違いなしです。
絹にやってきた技巧を最高級の綿麻に施し、美しく着やすい着物。
紙面や画面では表現しきれない、藤井絞のよさを、是非体感してみて下さい。
この記事を書いた人
南綾香(みなみ)
奈良生まれ奈良育ち。今もリモート環境のため奈良で活動中。
海外留学中に中小企業の商品の営業活動を経験。その中で色々な商品やサービスを目にし、日本ならではの価値とは何なのかという点に疑問を持った。それをきっかけに、伝統産業の魅力に気づき、取材記事やSNS運用で日本のモノづくりを応援している。
プライベートでは、日本各地のモノづくり産地と工房を自宅から旅する、Local Craft Marketというオンラインイベントを企画運営。
https://www.instagram.com/naraexperiences.minami/?hl=ja