日本のイメージに強くある「竹」
竹といえば緑緑しい葉と茎が連なる、壮大な竹林を想像する。
そんな竹を職人の手で形を変えたものがいわゆる「竹細工」になる。
竹細工は大分の別府など日本各地に盛んな場所があり、静岡の駿河竹千筋細工もその一つだ。
私が駿河竹千筋細工に感動したのはその作品が生む「空間」だ。
なぜ「空間」を魅力的に感じるのか。駿河竹千筋細工の特徴とともに見ていきたいと思う。
駿河竹千筋細工の特徴
日本各地にある竹細工だが、駿河竹千筋細工には他にない作り方がある。それは作品を作る際、「丸ひご」を用いて形を作り上げることだ。
他の地域は「平ひごを編む」のに対して、駿河竹千筋細工では「丸ひごを組む」ことで形を作る。
平ひごは竹を薄い皮のようにしたもの、丸ひごは細い棒のようにしたものだ。
丸ひごと平ひごでは何が違うのか。平ひごはいくつかが組み合わされ形を作るのに対し、丸ひごはその1本が形となり、デザインを決定する役割を持つ。
それはひごの形が変わればそのもの全体の形、イメージが変わるということだ。だから、職人はひご一本一本の形にこだわり、技をもって、求める形のため組んでいく。
美しい丸ひごから生まれる「空間」
丸ひごから作られる形は作品の中に「隙間」、「空間」をつくる。
「隙間」を埋めてしまうのではない。丸ひごと丸ひごの間に「空間」があるからこそ、形となり、模様となり、作品となる。
細く、美しく削られた丸ひごはその間にある空間を美しく着飾る。
花器は生ける花をも美しく、風鈴は揺れる風鈴をも美しく。
そんな「空間」をもつ駿河竹千筋細工が私は魅力的に感じる。
【参考】 静岡郷土工芸品振興会 駿河竹千筋細工 http://www.shizuoka-kougei.jp/craft/suruga-sensuji/
一つを除いた写真は執筆者自らが撮影。
執筆者 あま