- とらくら合宿 / 島根班・広島班 / 取材レポート
多くの方が知っているように、色とりどりで、美しく、かわいいイメージのある手毬ですが、和紙や藍染め糸を使用した松江にしかない手毬を、皆さんはご存じですか?今回とらくら島根・広島班は、松江和紙てまり・藍てまりの現在の代表である絹川令子さんにインタビューさせていただきました。
和紙てまり
てまりの土台である玉に、安部栄四郎氏の「出雲民藝紙」の和紙を貼り、そこに刺繍糸で縁起の良い模様の刺繍かがりをし、その中に、四季折々の花などのちぎり絵を施してあるてまりです。
藍てまりとは?
1870年創業の島根県安来市広瀬町の「天野紺屋」さんの、美しい五色の藍糸を使用して、幾何学模様のおもしろさを表現したてまりです。
和紙てまりは、どのようにして出来たのですか?
松江和紙てまり・藍てまりの創始者である、絹川 ツネノさんは、熊本に滞在中、二年ほどで肥後てまりを習得しました。その後、地元、松江で指導をしておられた中で、ある時、人間国宝である安部栄四郎氏の「出雲民藝紙」と出会いました。ツネノさんは、出雲民藝紙の丈夫さと独特の柔らかな和紙に感動し、それらを活かした「和紙てまり」を考案しました。
制作過程を教えてください。
まず、てまりの土台には、木を裁断して乾燥させたものを使用しています。土台ができたら、糸をまいて、綿をまいて、糸をまいてという過程をきれいな球体になることを意識しながら繰り返します。それができたら、その球体を分割し、考えた模様を刺繍かがりしていきます。てまりはいかに球体を分割し、どこを通って糸を通すかがポイントです。
これから、和紙てまりを含め伝統工芸品は残していけると思いますか?
「後継者は?」「どうやって受け継いでいく?」など、よく聞かれますが、1から手間暇かけて作るものは、とても良いものばかりですが、それと同時に今の「簡単に物を買って、捨てる時代」では生き残ることが難しいと感じています。でも、本当に良いものは残っていくと思います。常に技術的にも高め、優れた作品を作り続けることが、細々とでも残っていくと信じたいです。
和紙てまりを作り続ける理由は何ですか?
訪れた人、体験をした人、購入して下さった人達が、和紙てまりを、手元に置いて嬉しい、かわいい!そばに置きたいとおっしゃって下さることが、やはり凄く嬉しいことです。季節の風景、周囲の草花等から発想を得て、和紙てまりで新しいものができないか?と常に考えることが楽しいです。でもそれは簡単な事ではありません。体験なさった子供さんたち、外国の方、男性の方々などの自由な発想でちぎり絵をなさって、唯一無二のご自分のてまりを完成されることにいつも感動します。
とらくら生もてまり作り体験もさせていただきました!
「和紙はちぎったほうが良さが出る」とのことだったので、はさみは使わず和紙だからこその良さが出るように意識しました。大き目のサイズのてまりを選んだのですが、それでも細かい作業が多く、改めて職人さんの器用さに驚きました。体験中も、今まで体験に来た方の話や、スペインでてまり体験をしてもらう話などを聞かせていただき、とても楽しかったです。
できあがったてまり
和紙てまり・藍てまりの皆様、たくさんの貴重な体験をありがとうございました!
和紙てまり・藍てまり:https://www.washitemari.jp
執筆者:古谷瑛奈(とらくら4期生)