ものを「包む」……私たちが何か運びたいとき、人に渡したいとき、様々な形で「包む」ことが行われます。そして、包み方によって様々な思いを伝えることができます。
日本の伝統的パッケージの収集を続けた岡秀行。この展覧会は、彼のコレクションを譲り受け、所蔵する目黒区美術館で行われました。
◆「木」「竹」「藁」「紙」
今回の展覧会で並べられた「包み」たちは素材ごとに展示されています。各地の名産品と呼ばれるものも多く、その地方にとっても大切にしてきたものだからこそ、包むことにもこだわっているのだな、と感じました。
ただ、長期的な使用に耐えられないものもあるため、一部は新しいものに差し替えられていたり、実物の展示が行われていなかったりするものもあり、包むものの儚さも感じたのでした。
私が今回の展示の中でもっとも印象深かった作品として、「卵つと」(写真)があげられます。プラスチック製の卵パックが生まれた時から当たり前だった自分にとって、藁を丁寧に編んで5つの卵を守っていたということが驚きでした。
◆ 展示を振り返る一冊
展示は9月5日をもって終了していますが、岡秀行、目黒区美術館『包 日本の伝統パッケージ、その原点とデザイン』という本でコレクションの詳細が紹介されているので、興味を持った方は必読の一冊です。図書館などには岡秀行『こころの造形:日本の伝統パッケージ』も所蔵されているかもしれないので、こちらも併せて読んでみてはいかがでしょうか。