烏城紬から考える、芸の出発点とは。

COLUMN

こんにちは!

昨晩、浅草キッドを見て号泣した小濵です。

現在は沢山のエンターテイメントが世の中にあふれ、

NFTアートのようにネット上でやり取りされる芸術も生まれている世界になりました。

原点として、「芸とは何か」を考えさせられるそんな作品でした。ぜひ。

[浅草キッド]https://www.netflix.com/jp/title/81317135

今回紹介するのはそんな、伝統的な芸術、工芸品のお話です。

さてさて本題。

今回は岡山県の「烏城紬」を紹介させて頂きます。

織元 須本雅子さん作「彩雲」

烏城紬は何を隠そう私の地元、岡山県奉還町に伝承館がある伝統工芸です。

僕の自己紹介記事です。地元についても。

おぼろげながら小学生の頃に家庭科室に織機が来て、機織り体験をした記憶がありますね。

烏城紬は県指定の郷土伝統的工芸品にも指定されており、100年以上の歴史を有しています。

今回はいつかインタビューしたいという気持ちを抱いている私が、

烏城紬の特徴を整理していきたいと思います!

①烏城紬の歴史について

「烏城紬は寛政10年(1798年)ごろ、岡山県児島半島の灘崎村迫川、宗津地方中心に起こった袴地織りが始まりです。」(HPより)…1798年ごろ??小濵は生まれてませんし、恐らくこの記事を読まれている方は誰もその時代を教科書以外で知らないのでは…。

(ちなみに1798年␣出来事と検索したところ、本居宣長が古事記伝を完成させて、フランス革命が起きていました。この2件は同時なの!?脱線でした。)

本居宣長の古事記伝

烏城紬は同い年

先述の通り、100年以上の歴史を有するものが伝統、とされているそうですが、伝統工芸初心者の小濵には大きすぎる年月でした…。2022年現在から振り返ると224年。凄まじいいい。

しかもそれ以前から自家の副業として女性たちの手で作られていたそうです。

また、現在の「烏城紬」という名前は二代目 三宅小三郎さんが命名したものです。
現在までに綿と生糸や現在の生糸のみなど様々な変化があった烏城紬の素材ですが、三宅さんは当時、昔ながらの絹織物に変えたいという思いから、糸紡機を考えて絹織物へと変え、名前を付けたという経緯があったようです。

萬年紬や岡山紬と呼ばれていた時期があるようですが、岡山城と同じ”烏城”を関するのは地元民にとって少し誇らしいというか、自分たちしかわからない大事な名前という感じがしていいですね。

また、現代では主流となった「ブランド化」一端ではないでしょうか。
最初は一般的な稼業であった手工業に名前を付けることで現在のブランドとしての輪郭があるように思います。感慨深いです。

後に昭和63年4月8日から岡山県で郷土伝統的工芸品の指定を受けています。

②織元の須本さんの想い

織元の須本さんは現在4代目。

200年以上続いてきた烏城紬は4人の方々によって受け継がれてきたのだと考えると、

並大抵の努力ではなされることではないなと感じますね。

また、須本さんの代からは全行程を一人で行うようになったそうです。

「長くやって来ました。

どうぞ烏城紬が後世に正しく肯定も伝わっていくことを願って

皆様に指導していきたいと思っています。」(オンラインショップより)

正しく伝わること。伝統のあるべき姿とは何かを考えさせられました。

ぜひ考えてみてください。

最後に

ここまで書いてきて思ったんですが、伝統はいつから伝統になるんでしょうか。

家業としてどこかで引き継がれ続けているものでしょうか?

多くの人が関わった技術でしょうか?

その品に名前を冠してからでしょうか?

僕はまだこれが答えだ!というものは見つけられていませんが、

ここまで読んでくださったあなたからアイデアを頂けることを楽しみにしています。

最後に、ごく個人的な意見ですが、僕は烏城紬”伝承館”という名前も好きです。

常に門戸は開かれていて、自分が受け継ぎ手になるかならないか、

そこで待ってくれているかのような、温かさを感じる名前です。

今日はここいらで。ありがとうございました。

==================⇒ぜひHPもご覧ください。

[烏城紬保存会HP] https://ujo-tsumugi.jp/
[女性伝統工芸士展HP]https://awtac.jp/wanotakumizamember?id=10489931

===================

伝統工芸学生アンバサダーとらくらは「伝統工芸を未来と世界に」をビジョンに活動する学生団体です!

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