皆様、お変わりなくお過ごしでしょうか。私の大学は対面授業とオンライン、オンデマンド授業のハイフレックス制をとっているためなかなか大学に行くことがありません。また、近所で犬の散歩にしか行かない日もあります。好きなことが制限されてしまう日常に滅入ってしまっていました。
家にいる時間が長いため、様々なサブスクでドラマやアニメ、映画を見ることが多くなりました。昔のように新しいジャンルを開拓する体力もなくなってしまったため、「なにかおもしろいのないかな~」を口癖に色々と作品を探しています。
そしてある日、「ましろのおと」という津軽三味線に焦点を当てた作品に出会いました。原作は羅川真里茂先生で、代表作には「赤ちゃんと僕」などがあります。ネタバレになってしまうためあまり言及はしませんが、優れた三味線奏者であった祖父を亡くした澤村雪が津軽三味線を背負い青森から東京へ上京し、自分の弾くべき「音」を新しく出会う人々と共に探してゆく、というストーリーです。
作品冒頭から三味線の音に圧倒され、懐かしいと思いました。私も高校生の時に津軽三味線の稽古に行っていたからです。留学に行ったり、忙しくなったことで教室に通わなくなってしまいましたが、両親に自分の三味線を買ってもらっていたため、自宅でも演奏はできる環境でした。しかし、津軽三味線はかなり難易度の高い楽器の一つで、挫折してしまうことも少なくはありません。私もその一人でした。三味線の3本の糸のうちの1本が切れてしまっていても「今度新しいのを買いに行くときにお店の方にやってもらおう」という心持だったのです。
でも、「ましろのおと」を見て、1話の途中時点で自分の部屋の押し入れに向かい、三味線を取り出しに行っていました。早く弾きたい、なぜかそのような熱が生まれてきたのです。
まず糸の張替えを自分でできたことが驚きでした。動画サイトでやり方を見つつ、自分で張り替える、今までの自分であったら躊躇していたことです。そして指かけをして、バチを持って鳴らしてみました。それは酷い音でしたが、今の自分の「音」はこれなんだな、長期間練習していなかったから無理もない、と挫折してしまった自分を「下手でもいい」と許せたような気がしたのです。
今も時間を見計らっては少し弾いてみたりしています。完璧に弾けなくてもいいから、音、三味線の匂いを感じられる時間が好きです。現在の目標は「津軽じょんがら節」の一段をもう少し速く弾けるようになることです。道のりは長いですが精進します。
これからは津軽三味線の魅力についてもお伝えできればと思っております。皆様も体にお気をつけてお過ごしください。