食と工芸とサイエンス

COLUMN

1年間で半年しかオープンしないレストラン

画像引用:https://00m.in/6gcrM

エル・ブジっていう、世界一予約の取れないレストランがあったんだけど、そこがなかなかに科学すぎて面白い。どう科学かって言うと、機械でなんでもかんでもムース(エスプーマ)にして提供しているところとか、そのレシピを公開したりとか。世界一予約の取れないレストランって聞けば、ミシュラン三ツ星シェフがいっぱいいて、都会の一等地に構えていて、そこでしか味わえないみたいな、グランメゾン東京みたいな世界観を憶える人が多いと思うけど、実際は真逆だった。料理人はシェフじゃなくて機械、立地は山奥、しかもレシピは公開、店内はガラス張りだから、調理シーンも丸見えどころか、厨房に招待しちゃう。レストランていうより研究所みたいな語呂だなあと感じる。また、1年間で半年しかオープンしないってところも面白い。ブランディングで半年しかやりませんってしているわけではない。このエスプーマの研究に半年使っているそうだ。
この中で最も科学なテイストが入っているのは、レシピを公開しているところだと思う。これらすべてが価値として認められているなら、もっとクローズにして希少性高めてブランディングに力入れたら大儲けできたはずだろう。にもかかわらず、半年かけて研究したレシピも調理シーンも公開しているところが、アカデミックな部分でいう論文、デジタルな部分でいうとGitHubに近いと感じた。

オープンソースの有益性

引用:https://00m.in/6gcrM

エル・ブジのエスプーマ以外にも、オープンソースでものすごい結果を出したものは他にもある。直近では、オードリー・タンのJoinやv台湾、さらにはパンデミックを封じ込めることにつながった全民健康保険(日本でいう健康保険制度)のオープンソース化が挙げられる。さらに、Joinやv台湾のメカニズムの1つにもオープンソースのPol.isが使われている。
なんでこんなにもオープンソースが強いのか。理由はいくつかあると思うけど、僕は、ファーストオーサーがわかることとか、ユーザーに課題設定の主導権の付与、大まかな合意性(≒フェア)の確認みたいな、査読を経ても限りなく近い答えしか出ない世界がもたらされることだと考える。結果、競争がなくてもブランディングに繋がるのだろうなあと。

工芸のオープンソースの考察

引用:https://www.elle.com/jp/culture/travel/g100484/tfe-kyoto17-0410/

研究者ってかなりアーティスティックな側面が強いと思っていて、問いを自分で決める作業ってまさにゼロイチだし、この部分は、オープンソースの有益性の1つの課題設定の主導権に近い。この問いの発想から裏付けるにはを組み立てて定義して実験してって、インスピレーションな部分もあるはずってところも考えられる。自分が工芸で何を表現したいか、どう表現するかを考える工程と似ている。じゃあ、工芸もオープンソースにしたってアーティストの精神性は残るわけだし、ファーストオーサーを残せるから職人のブランド価値は維持・向上できるし、限りなく近い答え(≒対象の工芸品)の中で自身のクリエイティブの表現の思考(≒課題設定の主導権)があるし、メリットはかなり多いと考えている。
まあ、1番は工芸への参入障壁は下がってユーザーが増えるなら、どんな形であれ工芸自身の保存はできているから課題の1つは解決できるんじゃないかなって思ってます。

伝統工芸学生アンバサダーとらくらは「伝統工芸を未来と世界に」をビジョンに活動する学生団体です!

関連記事

特集記事

おすすめ記事

  1. 第65回東京都伝統工芸品展・新宿高島屋で1月19日(水)1月20日(木)開催(内容変更に伴い一部修正)

  2. うるしの歴史

  3. これは何絞り?絞り染めと生地の違い、見どころ。藤井絞 part2.

  4. 新しい商品を作り上げる姿勢と作り方 藤井絞 part1.

  5.  【丹後ちりめん】絹糸の魔術師ワタマサが仕掛ける織物ブランド

  6. 【着物メディア編集長に聞く!】20代は知らない!?着物業界のリアル。

  7. 【有田焼 李参平窯】陶祖の想いを再興する十四代李参平の挑戦。

  8. 【久留米絣】いにしえのロマンを語る “野村織物” の洋服への挑戦

  9. ある日手にとった薬草に感動し奈良でブランド立ち上げ jiwajiwa 松本梓さん

  10. 【アリタポーセリンラボ】世界のラグジュアリー市場へ挑む秘策とは。

最近の記事

  1. 南青山の紅ミュージアム手仕事ギャラリーにて 「赤絵細描と共に歩んだ軌跡-福島武山 喜寿展」開催中!

  2. 【クラファンに挑戦し2泊3日の遠方取材実施予定】学生団体とらくらは4期生の募集を開始しました!伝統工芸に興味のある学生の皆さん、一緒に魅力を発信しましょう🐈🐈

  3. 加賀友禅と京友禅~武士と貴族の感性の違いが一目瞭然!~

  4. 草木染めがエコでおしゃれ! in OKANOアークヒルズ店

  5. 12年ぶりに着物きてみた!in OKANO アークヒルズ店

  6. 伝統工芸×資格

  7. 優しさのある工芸  ー漆芸作家 松崎森平ー

  8. みやびな京漆器 ー京都府の伝統的工芸品についてー

  9. 漆工と絵師、2つの顔を持つ柴田是信

  10. 工芸×本 アンバサダーがおすすめする工芸についての本4冊!

ランキング

  1. 1

    伝統工芸×化粧 #1

  2. 2

    【クラファンに挑戦し2泊3日の遠方取材実施予定】学生団体とらくらは4期生の募集を開始しました!伝統工芸に興味のある学生の皆さん、一緒に魅力を発信しましょう🐈🐈

  3. 3

    【博多織 黒木織物】未経験でも”職人”になれる!? (前編)

  4. 4

    ここらでごいっぷくいかがですか。〜工芸×お茶で切り取る世界とは〜

  5. 5

    【小石原焼 カネハ窯】標高500m大自然と共生する”半農半陶”とは!?

  6. 6

    伝統工芸×体験2 螺鈿細工

  7. 7

    【着物メディア編集長に聞く!】20代は知らない!?着物業界のリアル。

  8. 8

    これは何絞り?絞り染めと生地の違い、見どころ。藤井絞 part2.

  9. 9

    食と工芸とサイエンス

  10. 10

    【アリタポーセリンラボ】世界のラグジュアリー市場へ挑む秘策とは。

最新 人気 特集
  1. 南青山の紅ミュージアム手仕事ギャラリーにて 「赤絵細描と共に歩んだ軌跡-福島武山 喜寿展」開催中!

  2. 【クラファンに挑戦し2泊3日の遠方取材実施予定】学生団体とらくらは4期生の募集を開始しました!伝統工芸に興味のある学生の皆さん、一緒に魅力を発信しましょう🐈🐈

  3. 加賀友禅と京友禅~武士と貴族の感性の違いが一目瞭然!~

  4. 草木染めがエコでおしゃれ! in OKANOアークヒルズ店

  5. 12年ぶりに着物きてみた!in OKANO アークヒルズ店

  6. 伝統工芸×資格

  7. 優しさのある工芸  ー漆芸作家 松崎森平ー

  8. みやびな京漆器 ー京都府の伝統的工芸品についてー

  9. 漆工と絵師、2つの顔を持つ柴田是信

  10. 工芸×本 アンバサダーがおすすめする工芸についての本4冊!

  1. 第65回東京都伝統工芸品展・新宿高島屋で1月19日(水)1月20日(木)開催(内容変更に伴い一部修正)

  2. うるしの歴史

  3. これは何絞り?絞り染めと生地の違い、見どころ。藤井絞 part2.

  4. 新しい商品を作り上げる姿勢と作り方 藤井絞 part1.

  5.  【丹後ちりめん】絹糸の魔術師ワタマサが仕掛ける織物ブランド

  6. 【着物メディア編集長に聞く!】20代は知らない!?着物業界のリアル。

  7. 【有田焼 李参平窯】陶祖の想いを再興する十四代李参平の挑戦。

  8. 【久留米絣】いにしえのロマンを語る “野村織物” の洋服への挑戦

  9. ある日手にとった薬草に感動し奈良でブランド立ち上げ jiwajiwa 松本梓さん

  10. 【アリタポーセリンラボ】世界のラグジュアリー市場へ挑む秘策とは。

  1. 着物ってどうやってカタチができるの?和服縫製のプロに聞いてみました!

  2. これは何絞り?絞り染めと生地の違い、見どころ。藤井絞 part2.

  3. 新しい商品を作り上げる姿勢と作り方 藤井絞 part1.

  4.  【丹後ちりめん】絹糸の魔術師ワタマサが仕掛ける織物ブランド

  5. 【着物メディア編集長に聞く!】20代は知らない!?着物業界のリアル。

  6. 【有田焼 李参平窯】陶祖の想いを再興する十四代李参平の挑戦。

  7. 【久留米絣】いにしえのロマンを語る “野村織物” の洋服への挑戦

  8. 【アリタポーセリンラボ】世界のラグジュアリー市場へ挑む秘策とは。

  9. 【博多織 黒木織物】異業種とのコラボに挑戦!? (後編)

  10. 【博多織 黒木織物】未経験でも”職人”になれる!? (前編)

TOP