工芸×本 「民藝」と「とらくら」は似ている…?倉敷民藝館『民藝品とは何ですか 民藝館の仕事』

COLUMN

この連載では、【工芸×本】ということで、工芸に関する様々な書籍について紹介していきたいと思います!本屋さんに行ってみると、美術に関する本棚はたくさんあるのですが、工芸のジャンルになると、一気に少なくなってしまいます💦しかし、数が少ない分面白い本が見つかりやすくもあるんです!

記念すべき第一回の本は、倉敷民藝館が発行している『民藝品とは何ですか 民藝館の仕事』という本です。

◆ 民藝品とは=7つの性質

実用性…用に即した美であること

民衆性…作る者も使う者も一般の民衆

協力性…祖先と仲間との協力の仕事

無名性…自己主張しない

多数性…美の普及のために必須

安価性…ただし、安かろう悪かろうではない。怠慢のない繰り返しの労働と、おごらぬ生活によってもたらされる「真の安価」

自然性…材料は自然の物。作り手の心もまた自然。

◆ 民藝館の仕事=12の仕事

集めること…民衆が作ったもの、手で作ったものも、機械を利用したものも含む

選ぶこと…「利のため」の物でもなく「趣味のため」の物でもなく「鑑賞のため」の物でもなく「用のため」の物を選ぶ

守ること…ただ古いことへの懐古趣味ではなく、正しい伝統を選ぶこと

並べること…一体となって統一された美しさを作ること

見せること…「品物を直によく観ること」

調べること…ものしりになるのではなく、民藝の美しさの根拠を知る

学ぶこと…秘伝ではなく、公に・その道を学ぶこと

説くこと…民藝を広めるとともに、誤解を解く

作ること…次の時代につなげる

使うこと…使うことによって本来の役割を果たす

暮すこと…使うことによって、暮すことへ

喜ぶこと…美の喜びを感じること

◆ とらくらのコンセプトと民藝の考え方は似ている?!

誰もが工芸品を生活に取り入れ、文化を嗜み

自然、ひと、歴史の豊かさを享受する生活

そんな文化生活を日本中に広めていきます

これは私たち、Z世代が伝統工芸について発信していく、とらくらのメディアコンセプトになっています。

https://torakura.com/

さて、振り返ってこの本に書いてあった内容と照らし合わせてみてみると結構いろんなことが重なってきますよね。特に、実用性・民衆性などはとらくらのが扱っていく工芸品に、そして活動に民藝館の仕事はほとんどそのままとらくらの活動に重なってきます。もちろん、民藝が提唱された時代と今では戦略を変えなければいけない部分もあります。特に民藝が提唱する無名性は、一層情報があふれ、100均でなんでもものが手に入る現代においては、逆に衰退してしまう原因になりかねず、こうした点は時代に合わせて修正されるべきで、そうしたことをとらくらでは行っていきたいですね。

伝統工芸学生アンバサダーとらくらは「伝統工芸を未来と世界に」をビジョンに活動する学生団体です!

けんた

けんた

大学では、都市をフィールドとして学んでいます。また学芸員課程を履修しており、これをきっかけに博物館や美術館に頻繁に行くようになりました。工芸にはまったきっかけは、この美術館巡りをしているときに、東京国立近代美術館工芸館(いまは金沢に移転し、国立工芸館となりました)で様々な工芸作品に出会ったことです。日用のものに込められた美に驚きました。工芸作品は、それぞれの作品が作られた「場所」やそこを取り巻く自然・人々の暮らしを包摂していて、こんなに素晴らしい作品がたくさんあったのか!と感動したのを覚えています。 とらくらでは、「地域」に根ざした伝統工芸を見ていくことで、まちと工芸の関係性・そしてその可能性を探りたいと考えています。

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