伝統工芸 〜漆〜
お久しぶりです。みさきです。
大学の高校工芸科の教職科目の一環で、漆塗り体験をしました。
漆はかぶれてしまう危険性やそもそも希少価値のある素材です。こうした素材での実習は、めったに体験できないことだと思うので、ぜひ経験を共有したく書いています。
漆は、友達に私が「漆を大学で専攻したい」と話すとみんな素敵だね、と言ってくれるように和を感じられる素材だと思います。この記事を読んで、もっと漆に惹かれる人が増えてくれると嬉しいです。
漆塗りとは
漆塗りは、漆の木からとれる漆液を、主に木工品など塗装や装飾のために塗り重ね、高級感漂う独特の光沢感を持つことが特徴です。
漆というと多くの人が朱色や黒(漆黒という言葉もありますね。)の器などをイメージすると思いますが、実際に塗るときは茶色がかった透明な液体です。黒漆には鉄分を含めており、漆が乾く過程でその鉄分が酸化し独特の色合いが生まれます。また、そのほか朱色などは顔料を混ぜて色味を生み出しています。
また、一般的に何かを乾かすときには、風や熱などを当てたり、空気中の水分量を減らした状態にすると思います。しかし漆は、むしろ湿度がないと乾くことができず、職人さんたちは「漆風呂」と呼ばれる湿度を高く保った木の部屋を使って漆を乾燥させます。
漆塗り体験
なんとまさかの、コロナ禍によりZoomによる、同時双方向型の授業でした。そのため、事前に大学に材料を受け取りに行き、実際の作業は指導いただきながら部屋でもくもくと作業していました。
授業では、2本の木材をまずカッターでひたすら削り出し、箸の形に加工したあと、漆塗りをしました。
今回取り組んだ漆塗りの手順を、以下に簡単に説明すると、
①作品がはいる箱を用意し(漆風呂代わり)、新聞紙などを湿らせて湿度を高く保っておく
②漆を箸に塗り込む
③時間を置かずにウエスなどで拭き取る
④箱に入れ、乾かす
⑤乾いたら取り出して②〜⑤を繰り返す
というものでした。
漆は重ね塗りしていくと色がどんどん濃くなり、また撥水効果など製品としての強度も高める役割を持っています。
作業を通して、色味の変化がとても美しく、何より光沢感が出ていくのが感じ取れました。
体験の学び
数年前からなんとなく漆に魅力を感じていましたが、製作したのは今回が初めてでした。
漆塗りの作業は、塗ってから1日以上時間を空けないと乾かないため、どんなに急いでも作品を大量に一気に作ることはできないそうした手作業、伝統工芸らしい性質も実感しました。
また、初心者の私にとっては何度塗ったら完成になるのかが曖昧でしたが、それでも漆の独特の色味や塗り心地は新鮮な体験となりました。
私は、漆芸の中でも螺鈿や蒔絵など装飾技法のほうに特に興味があるのですが、ひたすらに塗りを追求する漆塗りそのものにも少し魅力を感じることができました。
最後に、今回の写真は完成作品のものです。とてつもなく拙い作品ですが、様子がわかればと思い。
どんなことでもそうですが、やはり実感として難しさや大変さを知っていると、その分野に尊敬の眼差しを持つことができますね。
それでは近々また。
- *2
- 今回のニッポンの色は
- 漆黒
- Sikkoku
- #00000f