皆さんのお気に入りのものは何ですか?
お父さんからもらった時計?それともコツコツ貯金してようやく手に入れた靴?
ひとりひとりが思い思いの物をもっていて、私の想像であてられそうにはありません。
でも、だいすきな物を大切にしよう、長く使い続けようという気持ちは皆共通ですよね。
そんな宝物の中に、長い年月の中で脈々と受け継がれここまで残されてきた、一生をかけて使えるものを新しく仲間入りさせてみませんか?
気負う必要は全くなし。手に入れれば、あなたはきっと虜になるはず。
そもそもどういったものがあるのか分からない、という方へ…。
今回は私のお気に入りのものをご紹介します。
ある日のこと、デパートで地元の物産展が開かれていました。手作りの櫛を販売するブースがあり、一緒にいた私のいとこが櫛がほしいとのことでそこへ寄ることにしました。
どうせ、高いんじゃないの?と最初は値段ばかり気にしていて、到底自分のお金では買うものではないと思っていました。
そこでは、職人のおじちゃんが櫛を実演で作っていました。櫛の歯を一本ずつ削っている様子を見て、売られている”もの”と”作り手”が重なり合いました。無機質にポンっと置かれ、ただ買ってもらう時を待つものとは明らかに印象が違いました。櫛がいきいきとしていました。
欲しいなぁ。私は純粋にそう思いました。
いろいろな種類の櫛から私は「みねばり櫛」を選び購入しました。”みねばり(峰榛)”は希少な木材で、1年に0.2㎜ほどしか胴回りが成長しません。それゆえ堅く強い特徴を持ち、櫛にはうってつけの材料となっています。また、選んだ櫛は歯が細かく、髪の艶出しに力を発揮します。静電気も抑えてくれるみたいです。さらには、使い続けていくごとに櫛本体のツヤが増し、品質が向上するというなんとも素晴らしいものなのです。
大学の始業の時間と闘いながら、必死で坂道を自転車で駆け上がった後の私を癒し、気持ちを整えてくれるのは、この櫛です。
ふぅ、今日もギリギリか…と息を切らしながら講義室の椅子に腰かけた、私の髪は風や汗でもみくちゃになっています。しかし、 この思い入れの詰まった大切な櫛で、一梳きで髪の流れが整う瞬間 、すっと背筋がのびます。
これからも色々な場面でお世話になるでしょう。どうぞこれからもよろしくお願いします。
皆さんにも素敵な出会いがありますように。