とらくら記者:白江
大阪府立大学経済データサイエンス課程3年
祖母が丹後ちりめんの職人、父が板金会社の社長でした。伝統工芸学生アンバサダーとらくら代表、株式会社wakonartなど複数の文化系企業へ参画し、伝統工芸・伝統文化の継承に力を入れる。
今回は久留米絣織元「坂田織物」への取材でした。「久留米絣を日常に」をテーマに、ブランド展開やSNS活用など革新的な取り組みで有名な織元です。伝統工芸の中でも最先端な取り組みをされている「坂田織物」の描くビジョンを取材します!
坂田さん、よろしくお願いします!
はい、よろしくお願いします。
まず簡単に自己紹介をいただきたいです
坂田織物は昭和23年創業の久留米絣織元で、現在3代目です。機械織がメインで自社で生地の企画から製造、販売まで一貫して行っています。商品の製造卸が8割で、自社で小売までしているのは2割ほどです。
企画製造販売までできる絣メーカー!また、坂田さんtwitterでもよく見かけます。革新的な取り組みされていますよね。特に力を入れている取り組みを伺いたいです。
他社とのコラボと自社ブランドTUGUです。直近ではアウトドアブランドやフードデザイナーとコラボして商品開発をしました。その他、他社の依頼を受けて一緒に絣生地を企画・製作するOEMも活発に行っています。また、自社ブランドTUGUでは、絣を作る30工程で余った糸を括り直し織物を作っています。
絣は着物生地としても人気だと思うのですが、アウトドアやファッションデザイナーとコラボする意図はどういったものですか?
坂田織物のビジョンとして「絣を身近にする」ことを大事にしています。絣が日常に溶け込んで、生活の中で人々に愛されることを目指しています。なので、まずは絣に触れてもらう、これが一番大事です。そこでいろんな業種の方とコラボし、商品作りに挑戦しています。
絣の肌触りと色の微妙なぼかし具合が自分も好きです。絣を身近に、素敵なコンセプトですね。一方、TUGUはどういった想いが背景にあるのでしょうか。
また取材の後に工房を案内するのですが、絣の工程は30にも及びます。その工程の中で余る糸が山のようにあるのを見て、2013年ごろに余った糸で何か作りたいと思うようになりました。それから日々研究を重ねて余った糸をもう一度括って新ブランドTUGUを立ち上げました。
絣の工程が30工程ある点も気になりますが、括る過程で余った糸をもう一度括る、面白いです。SDGsですね。
そうですね。作り手として素材や道具はとことん大事にしたいと思っています。
TUGUめっちゃ魅力的です。坂田織物さんは自社の絣を通してどんな考えを社会に届けたいですか?
“伝統工芸”としての久留米絣より、久留米絣を使った先にある”物語”を感じて欲しいです。具体的には絣独特の優しい肌触りや温かみです。ファストファッションも良いけど、伝統工芸の強みである使った先にある物語を商品を通して多くの人に伝えたいです。
確かに、伝統工芸の良さは見ることでも伝統であることでもなく、使った先にある豊かな暮らしだと自分も思います。最後に坂田さんの夢あれば伺いたいです。
絣のテーマパークを作りたいです。
絣のテーマパーク!?
絣を身近にするために、絣のある暮らしを体験できる場を作りたいです。工房見学で作り手の姿を見たり、絣の製品で囲まれたカフェや宿泊施設に泊まれたり、また未来の後継者が修行できる環境を同時に整えたりしたいです。久留米の街に絣の観光地を作っていきたいです。
めっちゃ面白いです。絣のテーマパーク絶対楽しいです。完成したらとらくらのメンバーで遊びにいきます!
ぜひぜひ。
坂田さん、本日は取材にご協力いただきありがとうございました!
ありがとうございました!
編集後記
久留米絣。初めて触りました!優しい肌触りが印象的でした。また括る工程も伝統的な技法で実践されていて、新しい切り口で攻めているブランドの背景にも高い技術が存在していました。
TUGUのコンセプトも素敵でした。自分の好きな藍染のスカーフを購入しました。絣のテーマパークも個人的にめっちゃ楽しみです!