金箔を「素材」から「主役」へ in箔一①

中部

今回私たち金沢・福井班は工芸品から始まり、化粧品・食品・建築と生活に密着した様々な分野で事業を展開している箔一さんに取材させていただきました!今回は金箔の歴史工場見学の様子について2つの記事に分けて執筆しました。ぜひお楽しみください✨

金箔の歴史

金箔の起源は正確には解明されていませんが古墳時代から、アクセサリーの装飾として使われていました。また「永遠・不変」を象徴するとして寺院建築や仏像彫刻にも使用されていたそうです。そして平安、室町、安土桃山と発展する日本の仏教文化の浸透とともに中国伝来の製箔技術がやがて日本独自のものとして定着し、今日へと発展してきました。

金沢での金箔

金沢では加賀藩の前田利家公が豊臣秀吉より、朝鮮の役の際に金箔の製造の命を受けたことが始まりだと言われています。その後幕府が経済体制を固めるために江戸・京都以外での「箔打ちを禁止令」を発しましたが、加賀藩の細工所を中心に箔の打ち立ては密かに続けられました。この結果、限られた材料で量と質を求める技術が研鑽され、優秀な技術が培われました。その後、明治維新による江戸幕府の崩壊により金箔産業の統制化が終わり、江戸箔が途絶えたことで金沢箔の優位性は一気に高まりました。さらに第一次大戦の影響で当時最大の箔産地であったドイツが壊滅的な影響をうけ、金沢での箔産業はさらなる発展を遂げました。

こうして現在、金沢市は金箔の国内製造量の98%以上を占める金箔の街へと成長しました。

金箔を素材から主役へ変貌させた箔一


今回私たちが取材させて頂いた箔一さんは、1977年に浅野邦子さんによって設立された会社です。1973年におきたオイルショックの影響から、金箔が使われる高級品が売れ行きが悪くなり箔屋が打撃を受けました。箔屋である夫の仕事が減り、給料が激減した姿を見た浅野さんは、自分たちでも商品を作ろうと考え立ち上げたのが現在の「株式会社箔一(ハクイチ)でした。金沢箔工芸品を独自に作り、地道な努力を積み重ねた結果、金沢箔工芸品が日本中に認知されるようになりました。

このようにして、当時金沢箔が使われても、金沢箔としての名前が前に出ず、他の工芸品として売られていた「素材としての金箔」から、「主役としての金沢箔」へ変貌を遂げて行きました。さらに箔一さんはさまざまなジャンルの商品を展開していき、現在のように「金沢といえば金箔」といったイメージを作り上げるのに成功しました。

あぶらとり紙の販売秘話

現在では当たり前のように使われているあぶらとり紙。これを大量生産で品質を高めて世の中に送り出したのはなんと箔一さんでした。金箔とあぶらとり紙が何で関係あるの?と思ったことでしょう。このあぶらとり紙、金箔を打つ際に使用される箔打紙がルーツとなっているんです。箔打紙は和紙からできており、金箔と同様に何回も打たれます。そうすることで繊維が密になり、毛細管現象により吸収力を備えた紙に変わるそうです。

あぶらとり紙のチェック。とても薄い紙なので、機械で数えるのは難しいとのこと

さらにこのあぶらとり紙、古くから京都の舞妓さんの間で人気で根強く愛用されてきました。しかし金箔の副産物であり、流通量も少なかったため一般には流通していませんでした。そこで「無いのであれば作ってしまえばいい」と和紙をあぶらとり紙のために打ち生産を安定化したことによって、一般にも販売できるようになりました。

今までオーダーメイドされたあぶらとり紙のデザインの数々

次回の記事は工房見学の様子です!現場に行かなければ見えてこなかった発見や気づきが盛りだくさんでした!ぜひお見逃しなく✨

執筆者:東谷湧太  伝統工芸学生アンバサダー「とらくら」4期

とらくらとは?

工芸の魅力を世界と若者に伝える」をvisionに掲げて活動するインカレ学生団体です。日本の伝統文化や工芸に興味がある全国の学生が集まり、「取材」を通して若者の目線からその魅力を発信しています。伝統工芸のwebメディアへの記事執筆やSNSでの発信、また他の学生団体とのコラボイベントも行います。   

伝統工芸学生アンバサダーとらくらは「伝統工芸を未来と世界に」をビジョンに活動する学生団体です!

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