前回、ざっくりと美大や工芸科について書いたので、今回は私の大学生活について詳しく書いてみようと思います。
私は美術工芸学部に所属し、工芸を専攻しています。午前中は自分で選んだ一般教養や語学、美術学の授業を受け、午後は全員必修の実技の授業を受けています。実技は基本的に毎日で、大体4〜5時間あります。楽しいので一瞬で時間が過ぎていきます。
私の大学では染・織・陶・漆の4分野の授業を2回ずつ体験してから、自分のコースを決めます。その中で印象的だった授業をいくつか紹介します。
・土器(陶)
まさかの土づくりからのスタートでした。陶芸用ではなく、畑の土から小石などを取り除き、ふるいにかけて細かくした土に少しずつ水を加えます。みんなで裸足になって円になり、グルグルと回りながら土を踏み歩きました。4時間ほど土をこねていたので、あるグループが歌いながら疲れを紛らわしていたのが印象的でした。
陶芸に向いていない土なのでヒビが入りやすく、形成が難しかったですが、遠い昔の人たちと同じことをしていると思うと嬉しくなりました。焼く時も釜は使わず野焼きしたので、渋い作品たちに仕上がりました。
・綴織(織)
つづれおり、と読みます。簡単に言えば、経糸(たていと)を緯糸(よこいと)で包み隠すように織るため、経糸が見えない織り方です。ノッティングやループなどもデザインに入れると、1日作業して数センチしか進まないこともあり、機械の凄さを実感します。それと同時に、織り手さんに尊敬の念を抱きます。
日常で目にすることの多い布を織ることで、我々の生活がいかに便利で、そしてその影に数多の先人たちの努力があることに気付けるので、義務教育で織の授業があったらいいのにと思いました。
・番外編 石彫(彫刻)
1年の前期は、日本画やデザインなど他の学科の授業を受けます。彫刻もその一つで、夏の暑い日に、長袖・長ズボン・帽子・ゴーグルをつけて、汗を流しながらの作業でした。大理石をノミで少しずつ削っていくのですが、金槌をもつ右手が筋肉痛になり、蚊に噛まれ、暑さにやられて大変だったので記憶に残っています。先生が振舞ってくれたゴーヤとバナナのジュースが忘れられない味でした。先生曰く、何度も飲んでいるうちに美味しく感じるそうです。(元気が出るので、夏バテ対策におすすめです。)
いかがでしたでしょうか。今回は私の思い出話になりましたが、楽しんで読んで頂けたなら幸いです。